【DIA WHITEPAPER 2】1.より健康を第一に

健康よりも大切なものはない

この数ヶ月の間に一つのことが明らかになったとすれば、それは、人々の人生と健康は何物にも変えられない大切なことであるということです。誰しもが思うことでしょう。世界中の個々人、政府、企業は、自分自身、家族、市民、従業員を守るためにありとあらゆる取り組みを行なっています。

人々の行動でも気づくことがあります。ただ家にいるだけでなく、以前よりももっと健康に気を配った生活を送っていませんか。私たちがウイルスについて学んだということがその一因と言えるでしょう。 心血管疾患や糖尿病などの持病だけでなく、生活習慣病や肥満やなども合併症や死亡のリスクを高める要因となり得えます。人々は運動量を増やし、そして健康的な食事をすることで少しでもリスクを軽減させようとしています。

より多くの運動を

外出自粛生活を送る何百万もの人々が「運動をしたい」と思っています。自粛生活で退屈しているからだけではなく、ライフスタイルを改善したいと思っているからです。レビューサイトの Yelpによると、家庭用フィットネス機器への関心は344%上昇し、ハイキングは116%上昇しているとの報告があります。ヨガマットやケトルベルなどのトレーニンググッズだけでなく、自転車も多く売れています。オンラインにおいてもその活況は現れています。瞑想アプリやデジタルフィットネスクラス、エアロバイク販売およびオンライン受講サービスを展開するPelotonなどのオンラインプラットフォームが急成長しています。ビデオ会議プラットフォームのZoomは、多くのワークアウト、ヨガ、ダンスのクラスが放送されているなど、最も重要な「ソーシャルウェルネス」プラットフォームの一つになっています。その結果、ワークアウト動画チャンネルの購読者数が2倍以上に増えました。

より健康的な食生活を

食のトレンドが、今後さらに重要になってきます。データによると、外出自粛や、ソーシャルディスタンスによって、外食ではなく、家庭で料理を行う人が増加していることがわかります。オンライン料理コースがブームになっています。これまでに比べてより一層健康意識を持つようになり、自分のキッチンでより多くの時間を過ごすようになり、新鮮で健康的で無添加の食品への需要や関心が増えました。また、健康を増進したり、病気にならないようにするために食生活の見直しや健康食品などを探す人も増えています。 Yelpによると、野菜や果物の売上は102%増加しているとあります。オンライン機能性食品・サプリメントの大手小売業であるLiveHelfiは、わずか3ヶ月で売上高が75%増加しました。

テクノロジーを活用した自己健康管理

あらゆる種類の健康アプリが人気を博しています。これまで以上に、物事を「コントロールできる」という感覚を大切にするようになりました。テクノロジーを活用した自己健康管理への関心が高まっています。今日一日の行動アクティビティ、睡眠分析、食事内容、ストレス、運動量などを可視化したりコントロールする目的で健康アプリが使われています。また、健康管理目的でスマートウォッチなどのウェアラブル端末をつけている人も増えています。心拍数や血圧などのデータも計測できるので、より正確で細かい管理ができるようになります。

ウイルス拡散抑制のためのデータ共有の必要性

感染が確認された場合、ウイルスの拡散を抑制するために、その人が誰と接触したかを迅速かつ完全に把握する必要があります。既に、スマートフォンのデータの活用が進められている国もあります。

  • シンガポール政府は、「Trace Together」と呼ばれる利用ユーザー主導の連絡先追跡アプリを考え出しました。このアプリは、コロナウイルス患者の2メートル以内に30分以上いた人をbluetoothを使って特定することができます。感染した人は、濃厚接触者を特定するために、保健省がアプリ内のデータにアクセスできるようにするかどうかを選択することができます。
  • 中国のYiTong Healthは、雇用主が従業員の健康を監視するためのモニタリングプラットフォームを立ち上げました。このツールは、従業員の毎日の健康報告書を作成し、コロナリスクの自動評価を行い、従業員のための予防手順を提供します。
  • LingBanは、利用ユーザーがコロナの状況を監視するためのチャットボットソリューションを提供しています。感染リスクの高い地域住民に毎日自動的に電話をかけて、近隣の健康状態や感染状況を確認します。さらなるリスクを軽減を行うためにAIがトラッキング、モニタリングを行います。

上記にて紹介した例はすべてアジアのものです。しかし、個人情報の取り扱いは地域によって異なりますが、他の地域でも同様のソリューションが採用されていることがわかります。オーストラリア政府のCOVIDsafeアプリは、わずか数日にも関わらず何百万回もダウンロードされていました。

ノルウェーでは、ノルウェー公衆衛生研究所のコロナウイルス追跡スマートフォンアプリ「Smittestopp(インフェクションストップ)」を最初の1週間で25%以上の人がダウンロードしています。ウイルスの拡散を防ぐために自ら積極的な役割を果たし、個人情報の一部を共有することで感染拡大防止に向けた貢献ができるため、積極的に行動したいと考える人が多いようです。これは、消費者がデータを共有することで抱えるプライバシーの問題を解決するには、相互主義が唯一の方法であることを証明しているに過ぎません。

医療システムへの更なる課題

ロックダウンは、医療システムのあらゆる部分で経験した課題と大いに関係していました。病院では、集中治療室の稼働率は数ヶ月もの間100%を遥かに超えています。また高齢者の介護現場でも、コロナによって多くの困難が生じました。 一般開業医は不必要な移動や物理的な接触を避けるために、オンラインチャネルを素早く採用しました。彼らは、オンライン予約の方が時間効率が良く、ほとんどの人が以前よりもオンラインチャネルを利用していることを発見しました。デジタルヘルスソリューションへの切迫感とそのメリットは、これまで以上に明確になってきています。

健康第一 – 自己に合った保険を決定するための機会

1. 健康保険・生命保険は拡大する

多くの人が、健康保険と生命保険の範囲内容が今後数年の間に拡大すると予想しています。今回のパンデミックによって、人々は健康への懸念とそれに対する備えについての関心をより一層高めました。消費者に適切な生命保険と健康保険のプランの重要性をより認識させることになると言えるでしょう。

2. 従来の保険を超えた積極的・予防的サービスへ

これは以前から広く議論されてきたことです。保険会社の付加価値は、損害が発生した場合のリスクのみをカバーするものから、より積極的で予防的なサービスを提供するものへと変化してきています。ワクチンが開発され、全員が接種されるまでには時間がかかります。それをただ待つのではなく、感染を防ぎ、より健康的な生活を送るための努力がすでになされています。食生活を改善し、運動量を増やすことで、免疫力を高めることができます。保険会社は、具体的なサービスで健康的なライフスタイルを促進するために、積極的な役割を果たすべきである、あるいは率先して行動すべきです。そうすることにより、すぐに保険業界の社会的影響も大きくなります。

3.データを活用した「コネクテッド・ヘルス・デバイス」の拡大

テクノロジーを活用した自己健康管理やデータ、あらゆる種類の個人情報を組み合わせたプラットフォームは、顧客の健康的な生活習慣を支援するために、これまで以上に関連性の高いものになるでしょう。長期的には、パーソナライズされた栄養学は、食品やトラッキング、高度な分析の間におけるクロスオーバーを加速させる可能性さえ秘めています。これらのプラットフォームと組み合わせた「コネクテッド・ヘルス・デバイス」は、以下のように形成されています。健康保険分野における全く新しいビジネスモデルの基盤となるトランザクション型から、関係性、協調性、参加型のモデルへと移行し、顧客の長期的な健康管理を支援します。多くの保険会社が、すでにこのようなプラットフォームを検討を始めています。
dacadooPAI HealthVirgin PulseVitalityWellmoなどのようなプラットフォーム提供を行うには、自分たちでゼロからこれらを開発するか、既存のプラットフォームと提携して、経験豊富なプロバイダーの専門知識をすぐに活用する必要があります。保険会社は、探査から採用へと規模の拡大を図る必要があります。

4. お客様の積極的な参加

トラッカーやプラットフォームは、利用ユーザーが自己の健康管理に向けた行動ができるよう、実用的な情報と気づきを提供します。そして、保険商品やサービス利用顧客に対して、より積極的な役割を果たすことができるようになります。定量化された自己の動きとcovid-trackingアプリの採用は、消費者が求めるニーズへの対応だけではなく、健康管理や健康増進、症状の評価、医療機関との連携など、より積極的なアプローチを取ることへの必要性と準備ができていることを明確に示しています。積極的に参加することで、お客様はより責任感を持ち、保険会社との関係をより平等にすることができます。これは関係性の根本的な転換であり、イノベーションへの大きな新しい視点であります。

5. 医療機関との連携によるエコシステム

急速な高齢化と医療費の高騰により、現在の医療制度は持続可能なものではありません。 コネクテッド・ヘルスケア・デバイスにより、医療機関や保険者は、患者との接触範囲を広げ、患者とのつながりを拡大することが可能になります。すべての関係者間でデータを共有し、このデータを最適に利用し、そして患者を遠隔でモニタリングすることで、医療の効率性、価格、アクセス性を維持しながら、働き方を大きく変える可能性を秘めています。 あらゆる種類のコネクテッドデバイスや、遠隔医療ソリューション、高度なアルゴリズムの応用により、患者へのケアが向上します。 それだけではなく、医療エコシステム全体の医療費総額を減少させることもできます。これらのアプリケーションも次の段階に移行する必要性があります。例えば、高齢者や在宅医療を受ける人のために、在宅ケアソリューションやケアプロバイダーとの柔軟な関わりの機会を提供することです。

保険とヘルスエコシステムを結びつける革新的な技術を提供する多種多様なプロバイダーの例。

  • Telemedi.co (ポーランド) : チャット、ビデオ電話などを活用した遠隔医療とAIを組み合わせることで保険会社の医療費削減を行うことができる。
  • メディクトール(スペイン):健康保険のお客様を症状からベストアクションまで5分以内にサポート。
  • Medlanes (ドイツ) : 健康保険や生命保険のコストをコントロールしながら、ブロックチェーンを活用して品質保証された医療提供者にアクセスするオンデマンドのデジタルネットワーク。
  • Infermedica(ポーランド):AIを搭載したプラットフォームにより、事前診断、トリアージ、患者と適切な医療サービスを簡単に結びつけることができる。
  • Breathomix (オランダ/ルーマニア) : さまざまなタイプの疾患を迅速かつ効率的に診断するためのクラウドベースの呼気分析ソリューションで、個別化された医療を可能にする。
  • reFit Systems (メキシコ/ドイツ) : 個人向けリハビリテーション用のデジタルセラピーシステムで、ヘルスケアや医療技術のための最先端のデジタルソリューションを開発。
  • Vayyar (イスラエル) : 高齢者の健康状態を検知し、救急医療サービスや長期入院のコストを削減する。
  • HiNounou (中国/シンガポール) : 高齢者とその家族のためのウェルネスエコシステムとプラットフォームを提供。
  • Neurotrack (米国) : 記憶喪失のリスクを評価し、認知機能の低下を予防・管理するためのツールを提供する認知健康プラットフォーム。
  • Somnox(オランダ):抱き枕のように使用することで、快眠とリラクゼーションをサポートしてくれる睡眠ロボットを提供。