InsurTech企業紹介「Waterdrop」

「Waterdrop(ウォータードロップ)」は、保険と医療サービスに特化したプラットフォームを展開する中国のインシュアテック企業です。特に社会的影響を持つ”保険”と”医療サービス”に焦点を当て、中国における第三者保険プラットフォームとしての地位を確立しています。
本記事では「Waterdrop」について詳しくご紹介します。

会社概要・事業内容

会社名 Waterdrop Inc
創業年月 2018年1月
代表者 Peng Shen
本社 北京
事業内容 保険およびヘルスケアサービスの提供を専門とする独立した第三者保険プラットフォームの運営 など

中国の北京に本拠を置くインシュアテック企業の「Waterdrop」は、中国国内でデジタル保険およびヘルスケアサービスのプロバイダーの一つとして位置し、2021年5月にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しました。同社の事業としては3つのセグメントに分けられます。

<主要3事業>
1.保険マーケットプレイス: 多様な保険商品をオンラインで提供するプラットフォーム事業を展開。
2.クラウドファンディング: 医療費の高騰に直面する患者用のクラウドファンディングプラットフォームを展開。
3.医療関連サービス: 個人および企業向けにカスタマイズされた医療関連サービスを提供。

財務状況について

2023年第三四半期の初年度保険料 は16 億 9,540 万人民元に達したものの、前年同期比5.0%減少となりました。
保険商品取引数では、2023年6月30日時点では1,050種類から9月30日には累計1,253種類にのぼり、プラットフォーム上での保険商品取引数はますます拡大しています。 純営業収益は2022年同期の7億7,220万人民元より、前年同期比11.1% 減となる6億8,650万人民元 となっています。

マーケティングについて

中国経済の冷え込みにより、初年度保険料は前年比を下回っており、販売手数料などの営業収益も連動して落ち込んでいる可能性が伺えます。
保険商品の取り扱い数を拡大することで、新規ユーザーの獲得・新規保険料収入への期待が高まります。さらに「Shenzhen Cunzhen Qiushi Technology Co., Ltd.」の子会社化による初年度収入保険料の獲得や、対前年比36%増のマーケティングコストの投下などのマーケティング強化を図っている状況が伺えます。

課題としては、長期保険提供の強化などによる収益性を確保しようとしている一方で、景気が冷え込む中、新たなユーザーを囲うことができるかがという点でしょう。
これは「Waterdrop」に限らず、中国の保険マーケットプレイヤー各社でしばらく厳しい状態が続く可能性が高いと考えられます。

おわりに

「Waterdrop」は、保険と医療サービスの分野で社会的影響を重視するビジョンを持つ企業です。そのサービスを通じてより多くの人々が保険の保護を受けられるよう、引受から保険金請求までのプロセス全体においてスムーズでフレンドリーなユーザーエクスペリエンスを提供しています。
総じて「Waterdrop」はイノベーションを推進し、中国における保険の普及と機能の向上に貢献している重要な企業と言えます。 中国経済が冷え込む中、存在感をより大きくするか今後の動きが注目されます。

 

参考資料・出典

▼ニュースリリース(出典:公式ホームページより)
https://ir.waterdrop-inc.com/News-Releases

▼2023 年第 3 四半期の未監査財務結果を報告(出典:ニュースリリースより)
https://ir.waterdrop-inc.com/2023-12-07-Waterdrop-Inc-Announces-Third-Quarter-2023-Unaudited-Financial-Results

▼2022年発表の2021年度年間報告(出典:公式ホームページより)
https://ir.waterdrop-inc.com/Annual-Reports

文責 hokan 山口・毎床 2024.2.28