仮想通貨で保険業界のムダをなくす?!【iXledger(旧InsureX Technology)】

Fintech業界で大きな存在感を放った、仮想通貨・ブロックチェーンは今後Insurtech(インシュアテック)業界でもその名を轟かせていく。

再保険の取引を効率化し、かつ取引記録をいつでも呼び起せる新たな再保険市場を定義している。

企業基本情報

企業名:iXledger(旧InsureX Technology)

中心拠点:イギリス

設立年:2017年

代表者名:Ingemar Svensson(CEO&Founder)

資金調達:ICO(トークンセール)

カテゴリ:Reinsurance(再保険)

企業ホームページURL:https://www.ixledger.com/

 

沿革

共同創業者の経歴

Ingemar Svensson(CEO&Founder、以下、Ingemarとする)は、三井住友海上グループ、Lehman Brothers、Barclays Capital、Bank of America Merrill Lynchにてシステム構築関連の職をおよそ20年間に渡って歴任した。
その後、SunGard Asset ManagementにてChief Technology Officierに就任し、2017年現職に至る。

Ctistina Dolan(Co-Founder & President US、以下、Cristinaとする)は、MIT卒業後、OneMain.comの共同創業者を経て現職に至る。同氏はForbes Technology Council のメンバーかつニューヨークMIT起業家フォーラムの副会長でもあり、そこで各企業の責任者向けにブロックチェーンのイベントを開いている。

Mikael Olofsson(Co-Founder & President EMEA、以下、Mikaelとする)は、ICAP、SGB Groupでのブローカー、TikkR.coの共同創業者を経て現職に至る。金融市場とスタートアップ領域に20年携わってきた経験を持っている。

 

同社の沿革

iXledgerは2017年の初めにイギリスのロンドンにて、ベテラン起業家と、FintechとInsurtechの分野に明るい技術者たちによって設立された。

iXledgerを創業するというアイデアは、ある保険会社の重役によって生まれたのである。
Ingemarはブロックチェーンのような革新的技術領域における、戦略立案の担当者だった。

初めに同社が注力したのは、保険会社が直接的かつより効果的に顧客にサービスを提供し、新たなビジネスチャンスの創出を促すような代替市場のプロセスを合理化することだ。
イーサリアム(仮想通貨の一種)のブロックチェーン技術の素晴らしさを認識し、現在、イーサリアムのブロックチェーンを採用して、製品とサービスの完璧な組み合わせを開発している。

また、同社はロンドンとニューヨークを拠点としており、優れた組織文化をもつ強力なチームを築き上げている。

直近では世界の再保険業界のリーディングカンパニーのひとつであるGen Reと戦略的に提携することを発表した。契約によりGen Reから定期的に収入を得ることで、資金繰りを安定させている。

 

サービスの内容

提供サービスの概要

イーサリアムのブロックチェーン技術を応用した仮想通貨IXTの発行。そしてIXTを取引通貨とする全く新しい再保険・保険市場の創出。


<創出される新市場の特色>

①保険・再保険商品の債権化:保険会社、再保険会社が互いに保険商品、再保険商品の売買を行うことができる。
②保険・再保険商品のポートフォリオ:他の金融商品と同じように管理できる。
③市場の分析:同社のサービスに含まれるツールによって、取引再保険会社、保険会社、ブローカー、システム開発運用者、顧客の市場全体の取引記録の分析ができる。

 

<解決される保険業界のムダ>

従来の再保険市場では保険会社、ブローカー、再保険会社のそれぞれで、別々に取引の記録をしていたため、データ分析が非効率だった。しかし、同社のサービスによって新たに作られる再保険市場では、ブロックチェーンによるつながりがあるため、膨大なデータを集めやすく、データ分析が効率化される。

 

他社類似InsurTech(インシュアテック)サービス

B3i(ブロックチェーン保険イニシアチブ(Blockchain Insurance Industry Initiative))

B3iは世界各国の大手の保険・再保険会社によって手掛けられている共同プロジェクトである。
同プロジェクトは、ブロックチェーン技術をグローバルで活用し、業界共通のプラットフォーム創出を目標としている。
その規模は欧州・北米・アジアにまたがっており、日本では東京海上ホールディングスや損保ジャパン日本興亜などが参画している。
現在は共同で、ブロックチェーン技術を用いた再保険取引のデータ交換効率を改善させる研究を行っている。

 

※参画保険・再保険会社

Tokio Marine Holdings(東京海上ホールディングス)、Achmea、Aegon、Ageas、Allianz、Generali、Hannover Re、Liberty Mutual、MunichRe、RGA、SCOR、Sompo Japan Nipponkoa Insurance(損保ジャパン日本興亜)、SwissRe、XL Catlin、Zurich Insurance Group (2017年2月現在)

 

AXA「Fizzy」

AXAの提供する飛行遅延保険商品「Fizzy」も仮想通貨の一種である。
IXTと同じくイーサリアムのブロックチェーン技術を応用して支払いや処理を行なっていることで話題を呼んでいる。

同商品は、飛行機が2時間以上遅延すると審査を受けることなく即座に保険支払いが完了するものである。
従来よりもスムーズに支払いまでの処理を実現させている。
その上、保険契約の記録にアクセスして、処理の過程・妥当性を確認することができる点も同商品の強みであると言える。

 

Fintech業界で大きな存在感を放った、仮想通貨・ブロックチェーンは今後Insurtech業界でもその名を轟かせていくと思われる。

ビジネスモデルはこちら