【レポート】InsurTechConnect Vegas 2023概要

ITC Vegas2023のアジェンダ

InsureTech Connect(ITC)ベガス2023が2023年10月31日〜11月2日の3日間に渡り開催された。ITCベガスは、世界最大のインシュアテックイベントとして知られており、テクノロジー企業、投資家、保険業界の既存企業が集まるグローバルなプラットフォームを提供している。このイベントには、対面で深い議論が可能な「Insuretech on Tap」という企画や、親密なネットワーキングのための招待制の「Blues Bash」など、多くのネットワーキングの機会や洞察に富んだセッションが行われた。また、Swiss Reと*Benekivaによるテクノロジーとゴルフを組み合わせた「Topgolf at ITC 2023」の企画も注目を浴びた。
 *Benekiva(保険金請求処理専用プラットフォームを提供するInsurtech企業)

アジェンダの詳細はこちら->Agenda-ITC Vegas

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今年の主要テーマは生成AI

インシュアテック領域は昨年、市場が落ち込み、一部企業の撤退などが見られた。今回のITCベガス2023では、保険の専門知識に再び焦点を当て、価値や成長の面で再評価されるという大きな変化があった。成長至上主義から短期の収益性とポジティブなユニット経済へのシフトが見られ、過剰な評価からの回復も進んだようだ。インシュアテックへの投資は成熟しつつあったが、新たな資金調達や投資も進み、次のフェーズへと移行する兆しを受けてとれる。

注目された主要なテーマは、生成AIだ。デジタル保険流通プラットフォーム、査定やクレームの改善に向けた生成型AI、新製品の流通チャネルの最適化に関する議論が行われた。スタートアップから大企業まで業界全体が、保険のバリューチェーン全体でAIを探求している。しかし、データのセキュリティ、プライバシーのリスク管理、AIを効果的かつ倫理的に利用する方法についても注目が集まった。インシュアテック業界における技術の進化に伴う新たな課題である。

保険業界では顧客のデータを大量に扱うため、データ保護とプライバシーの確保が重要だ。ITCでは、データの保護方法、プライバシーに関する法規制の変化、および業界におけるベストプラクティスについての議論が行われた。AI技術の急速な進展に伴い、その使用には倫理的な懸念が伴う。AIが提供する自動化と効率化の利点とともに、バイアスの問題や決定プロセスの透明性、顧客への影響など、責任ある利用に関する議論が重要視されている。

自動化も重要なトレンドとして注目された。効率を向上させ、エラーを減らし、顧客サービスを改善するためにタスクを自動化することが求められている。特にデータ入力や文書生成などの繰り返しやルーチンプロセスに焦点が当てられている。

現地メディアでは、ITC Vegas2023は、インシュアテックの進化する風景に貴重な洞察を提供したと評価されている。このイベントは、業界が革新への継続的な取り組み、AIと自動化の重要性の増大、およびこれらの技術の責任ある統合の必要性が問われた。


次回記事:25歳の双子が創業した注目インシュアテック企業Lula Technologies。保険プラットフォーム保険ライセンスを取得した初めてのAI「GAIL」


Insurtechの未来予測

世界のインシュアテック投資の未来予測では、これからの10年間で年平均成長率は*40~50%と見込まれている。市場動向の解釈や地域の焦点などにより情報源ごとの予測の違いはあるが、いずれも大幅な成長軌道を予測している。
 *参考:Straits Research /Grand View Research

世界中で保険請求が増加していることや、保険会社が運営効率と顧客体験を向上させるためにデジタル技術への投資を増やしていること、既存の保険システムに技術革新を適用することが焦点となっている。

世界でも活気を見せたインシュアテック業界。日本では昨年に続きITC Japanが2024年3月に開催される。
起業家や保険業界のリーダー、投資家たちが集まり、最新の情報を共有し、新しいつながりやビジネスの機会を創出する場となることが期待される。

https://asia.insuretechconnect.com/japan

取材協力: https://japan.plugandplaytechcenter.com/events/20231129_itc-vegas-report/