イスラエル北部のジフロンヤアコブで2016年に生まれたPlanck。
ITC Vegas 2023で注目を浴びたスタートアップのひとつだ。
2021年には損保ジャパンとの提携を開始、他にも米国やドイツの大手保険会社向けにサービスを提供している。
Planckとは
Planckは2016年、商業保険データのリーディングプラットフォームとして設立された。保険会社がどんなビジネスでも即座に正確な保険査定を行うのを可能にするサービスを構築することを目的にしている。
共同創業者兼CEOであるElad Tsurは、のちにSalesforce.comに買収され、現在ではSalesforce Einsteinとして知られているBlueTail Corporationの創設者だ。その後はテクノロジー(データマイニング、機械学習/AI、ビッグデータ)とビジネス、特に保険業界やその他の金融サービス業界とのギャップを埋めることに情熱を傾けている人物である。
Planckが行っているビジネスは、まさに理想的な保険、金融と社会のシームレスな架け橋になっていると言えるだろう。
現在は拠点をニューヨークと、イスラエル最大の都市圏であるテルアビブに置く。2020年3月にシリーズBの資金調達を発表し、現在までに会社は7100万ドル以上の資金を調達している。2019年にはInsurTech100に選ばれた。
保険引受業AIプラットフォーム
Planckが提供するプラットフォームでは、企業名と住所を入力するだけで、数秒内に火災種目の引受に必要なU/Wインサイト(Underwriting Insights)を作成することができる。ビッグデータを扱い、一般に公開されているあらゆるデータソースに対応することで、90%以上の精度を実現している。
どのような仕組みなのか
PlanckのプラットフォームPlanck PLUSでは、APIを通じて、企業名とその住所を受け取り、業界固有の情報源、ソーシャルネットワーク、レビューサイト、企業のウェブサイトやプロフィール、公的記録、政府のデータベースなど、延べ1000社以上のリソースから、該当のビジネスエンティティに関するすべての関連情報を容易に探索することが可能である。
また、高い精度を確保するため、独自のエンティティマッチングアルゴリズムを開発し、人の目には見えない不正確な情報や誤解を招くような情報があっても、ビジネスエンティティと検索された情報との正確な関係を検証してくれる。さらに、クローズドなデータエコシステムはデータプライバシーの懸念を排除し、他の生成型プラットフォームでの一般的なエラーを劇的に削減することができる。
加えて、Planck PLUSによって生成される戦略的なプロンプトやビジネスのデジタル情報は、GenAI(生成型人工知能)を活用して、保険会社が特定の査定目標に向けて最大の効果を発揮できるようにする。これにより、査定担当者はデータを効果的に活用し、ビジネスの特定のニーズやリスクに焦点を当て、効果的な査定を行うことができるようになる。
現場の声を開発に生かすCEO Elad Tsur
Elad Tsurは、「Planck PLUSは、査定担当者がリスクデータにアクセスし、分析し、解釈する方法を変革しています。GenAI(生成型人工知能)は、あらゆる産業を革命化する能力があることを示してきました。Planck PLUSを使用することで、この変革の力を商業保険向けに特別に構築された、単一で包括的かつ使いやすいワークベンチとして利用できます。Planck PLUSは、査定担当者が膨大なデータを操作し、機会を有効化し、自動化を可能にして、保険料の増加と査定の収益性向上を実現します。」と述べている。
また、別のインタビューではこのように答えている。
「現在の保険査定プロセスでは、不完全な情報と、エージェントと査定担当者間のコミュニケーションの誤りによるエラーに悩まされています。Planckのプラットフォームが薦めるソリューションにより、多数の提出書類の評価と優先順位付けが自動的に行われ、より効率的で正確な受付と更新プロセスのための手動査定が削減されます。」
参考文献:
https://www.reinsurancene.ws/planck-launches-first-genai-enhanced-underwriting-workbench/
https://medium.com/authority-magazine/elad-tsur-of-planck-on-the-future-of-artificial-intelligence-31c823e7032b