2018年4月25日にKPMGコンサルティング(本社:東京都千代田区)が記者向けに開催したRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入にかかわるリスク対応の重要性に関する勉強会に参加してきました。ちなみに今回の記者説明会は出席者が多く、「RPAへの関心の高さがうかがえる」と担当者は言っていました。
さて、KPMGコンサルティングについて簡単に紹介するとKPMGコンサルティングは、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、ビジネストランスメーション(事業改革)やテクノロジー、リスク&コンプライアンスの3分野でサービスを提供するコンサルティングファームです。事業に関するさまざまな分野と業界に精通し、幅広いコンサルティングサービスを行っています。なかでも保険業界でも進んでいるRPAについては、2015年から導入支援サービスを始めていて、導入や運用について、数多くの実績があります。
今回の勉強会では、最初にRPAの定義を「ワークフローや画面文字認識などの技術やツールを組み合わせて、複数のソフトウェアにまたがって動作できるようにした業務自動化ツール」とし、RPAが適用できる業務の範囲は「範囲は広く、ルール化ができて、テキストデータを使った処理であればほとんどの場面で適用できる」と説明していました。実際、企業内の「経理・財務」「給与・福利厚生」「顧客業務」「サプライチェーン」などに適用でき、紙の情報もOCRでテキスト化すれば処理することができます。そのように考えてみるといろいろな業界でRPAは浸透しているのかもしれません。
また、保険会社の事例として、「保険申し込み事務処理センターにRPAを導入し、200人いたオペレーターを20人未満に減らすことができた」という申し込みの処理事務を紹介していました。
保険申し込み事務処理センターとは、その名前の通り、保険に加入したい人から申込書が送られてくる集中事務センターのことで、申し込みの受付、記入内容の確認、記入漏れがないか確認して、そのデータを入力し、申し込み手続きの処理を行います。これらの処理は、全てルールに基づいているので、それはRPAでルール化することができます。その後、RPAを導入することによって、効率化や品質向上ができたため、人間の作業は、確認と一部の確認、書類のファイリング作業だけになりました。
この結果だけ見るとRPA=見える化=コスト削減と良い点ばかりなのですが、そうとばかりはいえないそうです。例えば、この例のリスクは「故障や停電によるRPAが停止した時の業務遅延リスク」「個人情報の管理に関するリスク」などが考えられます。それをどのようにカバーしていくのかそれが課題とのことです。
このほかのリスクの例として「RPAプログラムの不具合や不正な実行による誤処理や権限設定の不備などから発生する情報の流出」や「改ざんといった企業の信用にかかわる問題」「機器の故障や事故・災害によるRPAの停止といった業務への影響」「RPA導入時の社内規定の欠如から発生した管理コストの大幅な増加」などがあります。
このようにRPAの導入時や運用中にはさまざまなリスクが発生する可能性があるため、KPMGコンサルティングでは、RPAを導入した企業が直面しやすいリスクや悩みを「内部統制報告制度への対応」「情報セキュリティー管理」「業務継続管理」「RPA管理フレームワーク構築」の4つの領域に分け、サービスメニューに加えていくそうです。詳しいサービス内容はプレスリリースで確認できます。
個人的な感想ですが、3年前は、「どのようにRPAを導入するか」という話が中心だったのですが、今は、「どのようにRPAを管理するか」という運用について熱く語っているのをみて、RPA時代の成熟を感じました。3年後は「どのようにRPAを管理するか」をまだ話しているのかそれとも違うデジタルレイバーが活躍しているのか楽しみです。