InsurTechは保険のイメージアップにつながるか?

InsurTech(保険×IT)の市場は、2020年には1,100億円規模にもなると言われている(※1)。
2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年。同時に保険業界にInsurTech元年が来るかもしれない。

国内のInsurTechに該当するサービスは海外に比べ少なく、各保険会社はInsurTechに関するベンチャー企業、教育機関などと共同研究している状況である。

保険サービスの新商品以外に、InsurTechで得られることは何だろうか?

それはInsurTechの保険の信頼性ではないだろうか?
今後、AI(人工知能)により、対面販売よ
りネット保険で契約するお客様が増えてくる。「ネットでの契約で大丈夫だろうか?」と疑問と不安が出てくるだろう。人間誰しも安心・安全・信用できるモノを手に入れたい。
ITには、システムが「どれだけしっかりしているか?」、RASIS(※2)という考え方がある。特にセキュリティは注目される。InsurTechにもセキュリティに特化した事例がある。

2017年度に発表した三井住友海上火災保険会社(以下、三井住友海上)のIR情報を例に見てみよう。

■三井住友海上のICT戦略
ICT(Information Technology:情報技術)の普及にともない、IoT(Internet of Things(※3))・ビッグデータ・AI(⼈⼯知能)などを活⽤した社会全体のICT化の進展や、FinTech(金融×IT)の登
場を踏まえ、ICTの戦略活⽤を企画する態勢を2016年4⽉に強化している。
ICTを活⽤したビジネスモデルに着眼し、オープンイノベーションによる外部知見を積極的に取り入れている。

■InsurTechのセキュリティに関する事例
ウェアラブルなどIT技術を活用した保険の開発、AIを活用した職員の業務改善など、さまざま存在する。

中でも新しい試みは、不正請求のビッグデータ分析といった、セキュリティに関する取り組みである。膨大に存在する請求データから、職員の目だけで不正かどうかチェックするにも、時間・人が足りない。
この事例は、過去の不正請求データを収集・分析、不正請求のパターンを洗い出し、合致する請求を査定段階で察知できるスキームの構築を検討する。つまり、不正が発生する前に防止ができ、信用性が高まる。

保険はどうしても「うさん臭い」と悪いイメージがどこかしらにある。信用できるものだとわかれば、保険に加入しようと思うお客様の増加にもつながるだろう。保険に対するイメージアップを図るには「信用を証明する」ことで払拭できるのかもしれない。

執筆者 三村 恵