2018年5月11日、住友生命保険相互会社(以下、住友生命)と株式会社クラウドワークスの100%子会社であり、システムコンサルティング・システム開発を行う株式会社電縁(以下、電縁)は、ブロックチェーン技術を活用した保険管理業務に関する実証実験を5月より開始することを発表した。実証実験期間は2018年5月から約3ヶ月間を予定している。
なお、本実証実験には、ブロックチェーン導入による事業変革における第一人者である株式会社Scalarの深津航氏がアドバイザーとして参画し、豊富なブロックチェーン導入経験と保険業に関する幅広い知識を提供する予定である。
1.背景
民泊やカーシェアリングなど「必要なものを購入するのではなく、必要なときに共有する」シェアリングエコノミーの利用者増加を背景とした消費行動の変化に伴い、消費者ニーズの細分化や新たなニーズの創出が進んでいる。
そこで住友生命と電縁は、今後の生命保険市場におけるお客さまの多様なニーズにタイムリーに対応すべく、より機動的な商品提供や顧客利便性の向上を可能にするインフラ構築に向け、実証実験を実施する。本実験は、国内生命保険会社として画期的な、保険管理業務におけるブロックチェーン技術を活用した仕組みを構築し、自動化オペレーションの実現可否を検証するものである。
2.実証実験の概要
(1)実施内容
本実証実験では、保険契約の引受や契約管理、保険金の給付などの保険管理業務をブロックチェーン上で行う仕組みを実証することで、情報セキュリティや業務効率化などを含めて、ブロックチェーン技術の保険管理業務への適用可否や導入効果を検証し、有用なシステムの開発につなげる。なお、実験におけるオペレーションはスマートフォンでの完結を前提に行い、保険加入者の利便性向上と業務の効率化を図る。
(2)期待される効果
①保険管理プロセスの自動化とオペレーションコストの削減
ブロックチェーン技術の活用により、保険契約の引受から保険金支払までの一連の保険管理プロセスを自動化する。オペレーションの迅速化と人件費や書類送付などのコストを削減することができる。
②保険加入者の利便性の向上
保険契約関連手続きをスマートフォン上の最小限の操作で行うことによる顧客利便性が向上する。
③高いセキュリティの確保
ネットワーク上の複数サーバで同一データを分散管理するブロックチェーン技術を利用することで、すべての取引記録が透明性高く共有される。改ざんなどの不正が困難となるため、保険契約情報を安全に管理することができる。
④安価なシステム構築
ブロックチェーン技術により従来の中央認証やデータ管理など、ハードウェアに依存したセキュリティ構築が不要となるため、安価にシステムを構築することができる。
3.今後の展開
実験結果を踏まえ、ブロックチェーン技術を活用した革新的な保険管理プロセスを整備することにより、多様なニーズに機動的に応える保険商品提供や顧客利便性の向上を可能にするインフラ構築を検討していく。