インシュアテック(Insuretech)はとっつきにくい言葉?

数年前から、金融業界や金融系の情報を扱うコンサルティングファームの人と話していると「
フィンテック」「インシュアテック(インスアテック)」「RPA」など聞きなれない横文字が混じるよう
になりました。聞きなれない横文字というのは、どうしてもうさん臭く感じてしまうもので、一般
的になるまですっかり放置していましたが、私自身もそろそろ知らないと困るという状態になっ
たので、今回は、インシュアテックについて知りたいと思っている人に向けて解説したいと思い
ます。
あるときから保険業界では、「フィンテック」「インシュアテック」という言葉が、「保険会社がITを
使った改革を行うとき」「情報技術を持つ会社が保険会社向けにシステムを提案するとき」な
どに使われるようになりました。二つの似ている言葉は、時代に合わせて、広い意味で、形を
変えながら、便利に使われてきたように感じます。
ちなみにフィンテックとインシュアテックの意味を調べてみると、インシュアテックは、「保険(イ
ンシュアランス)と技術(テクノロジー)の融合を意味する造語で、データ解析や人工知能(AI)
などITを活用した保険サービスにもたらすイノベーションのこと」、フィンテックは、「金融(フィナ
ンシャル)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語で、IT(情報技術)を使って金融サービスを
つくること」と説明されています。
つまり、この2つの言葉の違いというのは、インシュアテックは保険業界、フィンテックは金融
業界でのイノベーションということだけなのです。インシュアテック(Insuretech)はとっつきにく
い言葉かというと、よく考えると昔から保険業界が取り組んできたことが新しい言葉になった
だけともいえます。だから、決して今まで誰も思いつかないことばかりやらなくてはいけないわ
けではないと私は考えます。
では、フィンテックとインシュアテックが目指す「イノベーション」とは何を指すかというと、米国
の経済学者であるJ.A. シュンペーターの経済発展論の中心的な概念で、「生産を拡大するた
めに労働,土地などの生産要素の組み合せを変化させたり,新たな生産要素を導入したりす
る企業家の行為。革新または、新機軸のことで、イノベーションこそ経済発展の最も主導的な
要因」であるそうです。
実際にフィンテックとしては、決済・送金・資産運用・ビッグデータ活用などのサービスが次々
と生まれ、スマートフォンを使った決済サービス「アップルペイ(ApplePay)」や「アンドロイドペ
イ(Android Pay)」が始まっています。一方、インシュアテックでは、ベンチャー企業やIT企業な
どと提携や連携し、ビッグデータ解析やIoT、AI(人口知能)などの最先端の技術の活用が始
まっています。もちろん、フィンテックで起こった決済・送金・資産運用・ビッグデータ活用もイン
シュアテック分野でも起こっています。次回は、インシュアテックで何が起こっている?というこ
とについて、詳しく説明していく予定です。