ドイツ発のインシュアテックIPO

こちらの記事は、InsurTechNewsの記事を翻訳したものです。
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Deutsche Familienversicherung社(以下、DFV社)は健康保険、損害保険および災害補償保険で主に知られています。同社の2017年の売上高は7,200万ユーロ(約93.6億円。1ユーロ130円換算、以下同じ)に達しました。DFV社は、人工知能に基づくシステムのおかげで、紛争の際のみ人の介入を必要とせずに済み、スタッフを比較的少ない数に抑えることができています。

これにより、コストを抑えながら顧客基盤を継続的に拡大することができました。今回、 DFV社の創設者兼CEOであるStefa M.Knoll氏と質疑応答の機会をいただきました。我々は彼からDFV社の最終提示価格は11月9日に確定する予定である、というIPOの最新情報をいただくことができました。

―DFV社は2007年に創業し、以来インシュアテック分野で知名度を上げてきました。なぜ、どのようにして会社を創業するに至ったのか、これまでのバックグラウンドを教えていただけませんでしょうか。

S.M.Knoll氏:私は1994年以来起業家そして創業者として活動しており、インシュアテック企業であるDFV社は私の3つめの会社にあたります。ゼロからのスタートでした。法律学と法学博士号の修了後、1988年に私はAllianz社に入社しました。なんと営業部隊に配属され、一軒一軒顧客の家をまわって保険を販売しなければならなかったのです。企業法務のリサーチャーとして働いた経験とのカルチャーショックがどれほど衝撃的か想像できますか。しかしここで、2人の創業者からはじまったAllianz社の物語からインスピレーションを受けて、保険会社を立ち上げるという私の夢ができました。Allianz社の創業者であるFink氏とThieme氏は、まさに私のロールモデルとなりました。Allianz社での時間は私に強烈なインパクトを与えました。今でも顧客のリビングやダイニングで保険を販売した経験からベネフィットを得ています。長い話を端的に話すと、6年の歳月をかけて、私はアシスタントから役員会のチェアマンに、そしてAllianz社の最も成功した営業部のディレクターになり、会社を辞めて起業しました。今日、私は保険会社を設立した初めての、そして唯一のAllianz社の従業員です。

私が1994年に設立した最初の会社は、保険業界のマーケティング会社であるDIATEL DIRECT社で、通信サービスプロバイダおよび保険と保険流通のためのサービスプロバイダーでした。2000年には急速に成長していたところオランダのSNT NV社とのジョイントベンチャーであるSNT Deutschland AG社に統合されました。CEOとして、私はこの企業を21世紀に導くことに成功しました。2005年に成功のピークを迎え、3,500人の従業員を雇用し、2億ユーロ(約260億円)を超えるサービス収入を得ました。この状況を利用して、会社の株式を売却し、その資金で長年の夢を実現させました。ついに保険会社を創設したのです。2007年、Insurtech Deutsche Familienversicherung社が誕生しました。

―DFV社の中核事業と提供しているプロダクトを教えてください。

S.M.Knoll氏:DFV社の中核事業は、民間の健康保険および損害保険商品の販売です。それに加えて、DFV社は急速に成長しているドイツのデジタルインシュアテック企業でもあります。DFVは2014年以来、超近代的なイベントベースかつJavaベースのコアシステムである独自のITプラットフォームで運用しています。このプラットフォームにより、我々はたった109人の従業員で42万以上のアクティブな契約に関連する全てのビジネスアクティビティを処理することができます。このプラットフォームとデジタルプロダクトによって、我々は保険市場をディスラプトしてみせます。

―ドイツ市場でDFV社が競合他社と差別化させる要因は何ですか?

S.M.Knoll氏:すべてです。ドイツのインシュアテック企業であるDFV社は完全にデジタル化された唯一の保険会社であり、自動化されたプロセスと人工知能を利用して、保険商品の選択から支払い、事故レポート、保険金等の受け取りまでスムーズに提供することができます。

これは、Allianz社、AXA社、ERGO社のような昔ながらの保険会社だけでなく、若手のインシュアテックプレイヤーからも差別化する要因となっています。後者は競合他社ではなく、協力会社であるとみています。

説明しましょう:
1. 我々と同じくらいシンプルでわかりやすい保険商品を提供している会社は他にありません。ドイツで永久的に品質テストの勝者になります。このシンプルさと保険商品のクオリティの高さが、我々の成功の基盤です。デジタル化は保険商品から始まり、保険商品でしかできないからです。保険商品がシンプルでなく理解が難しい場合は、完全にデジタルのカスタマージャーニーも、他のあらゆる取り組みも意味がありません。このシンプルさこそが、AmazonPay、Paypal、GooglePayなどのデジタル決済フォームとインテグレートできる理由です。

2. デジタルで、シンプルで、かつ明白なカスタマージャーニーを備えているものは他にありません。我々の顧客は、本当のインシュアテックの顧客であることが何を意味するのかを理解するでしょう。弊社のウェブサイト、Alexa、GoogleHome、またはホットラインを介して契約を締結した後、DFV 社のカスタマーポータルサイトへのアクセスリンク、アプリへのダウンロードリンク、そしてウォレット式の保険証券が貼付されたメールが送られます。ウォレットカードとは従来のプラスチック製のカードに取って代わるものです。

3. 顧客にこんなにもシンプルで迅速な請求を提供する企業が他にあるでしょうか。お客様が医師から請求書を受け取ったら、それを写真に撮り、カスタマーポータルかアプリにアップロードするだけで、お金を受け取ることができるのです。人工知能とパーフェクトに自動化されたプロセスにより、我々の業務は非常に簡単かつ迅速に行われます。一番速いときに、歯医者の医療費請求にかかったのはたった45秒。これは世界記録です。

これこそが保険の未来であり、我々が我々自身を唯一機能しているインシュアテック企業でありデジタル化した最初の保険会社と呼ぶ理由なのです。

ごく最近、DFV社がAmazonのAlexaとインテグレートし、Alexaを持っている顧客に声だけで加入できる保険を提供したことを発表しました。
このようなアイデアをいったいいつ思いつけたか、そしてこのアイデアをカスタマージャーニーに実装するのにどのくらいの時間を要したでしょうか。

S.M.Knoll氏:我々は去年既にコンサルタントとしてアレクサを使用した先駆者です。その時既にコンサルティングだけでなく保険販売にもAlexaを使うというアイデアはありました。2017年5月以来、シアトル、ベルリン、ルクセンブルクでアマゾンと密にディスカッションをし続け、1年5ヶ月たった現在、ついにDFV社は決済にAmazonPayを利用しAmazonEchoで保険を契約できるという世界初の保険会社になりました。これこそが保険販売の未来です。私の見解では、5〜10年後にはもう保険販売にウェブサイトを使う必要はありません。声だけで契約できる!これから数週間でGoogleHomeを使った保険販売を発表する予定です。

― 2018年に予定されているIPOに関する詳細を教えてください。またIPOの主な目的は何でしょうか?

S.M.Knoll氏:もちろんです。今回はヨーロッパと西欧でインシュアテックのIPOとなります。我々のIPOはインターナショナルなインシュアテックの次の時代の始まりとなります。これによりあらゆるインシュアテックコミュニティが我々をサポートしてくれるでしょう。
しかしながら、今IPOに関してお話しなければいけないことがあります。

このオファーには、増資による3,500,000株と、1つの主要株主(「グリーンシューオプション」)の保有分525,000株からなるスタンダードグリーンシューオプション相当分が含まれています。すべてのオファーされた株式(グリーンシューオプションの全行使権および従業員および執行役員への優先配当を含む)の配当を予測すると、プレースメントのボリュームは6800万ユーロ(約8.84億円)から9200万ユーロ(約11.96億円)となる見込みであり、株式総額は5900万ユーロ(約7.67億円)~8000万ユーロ(約10億円)になるでしょう。最終提示価格とプレースメントのボリュームは、契約プロセスの状況で決まり、2018年11月9日に確定します。

ドイツ市場では非常に大きな成長の可能性を秘めています。我々の主な目標は、このIPOを通じて、補完的な健康保険の分野でドイツのマーケットリーダーになることです。DFV社は新しいタイプの保険です。デジタルによる価値の創造と無限のスケーラビリティと相まった素晴らしい保険商品は、顧客に最大のメリットをもたらします。DFV社がドイツの保険市場を刷新させるインシュアテック企業なのです。我々のデジタルプラットフォームの成長のポテンシャルにまさに最適な新規株式公開となるでしょう。

―あなたはドイツ外への展開を計画していますか?あなたは次の中期プランとして見ている最初の国はどこでしょうか?

S.M.Knoll氏:はい、これからヨーロッパ市場に参入します。2020年にフランス、スペイン、イタリア、オランダでスタートしたいと考えています。そして、世界で最も急速に成長するインシュアテック企業になるという我々の目標を達成します!


原文は以下のリンクよりご覧になれます
https://insurtechnews.com/insights/germanys-first-insurtech-ipo-announced