人事ソフト開発者が保険に参入した訳とは?【Zenefits】

創業後数年でユニコーン企業へと急成長したZenefitsを紹介する。

Zenefitsは、給与管理や福利厚生などの人事管理サービスを提供する一方、保険販売InsurTech(インシュアテック)にも取り組んでいる。

なぜ人事管理サービスと保険販売がセットになっているのかについても注目して説明する。

企業基本情報

企業名:Zenefits

中心拠点:アメリカ

設立年:2013年

代表者名:Laks Srini(Founder, CTO)、Parker Conrad(Founder, CEO)

資金調達総額:$583,600,000(2017年10月現在)

主な資金調達元:TPG (formerly Texas Pacific Group) / Andreessen Horowitz / Venrock / Maverick Capital

カテゴリ:Enterprise Insurance(企業保険)

企業ホームページURL:http://www.zenefits.com/

 

沿革

創業者の経歴

Laks Srini(Founder, CTO)はSigFigとD. E. Shaw&Co.に勤務したのち、同社を創業した。CTOとして、同社の事業拡大に貢献し、48ヶ国で数万社の企業にサービスを提供している。

Parker Conrad(Founder, CEO)はオンライン株式調査ツールであるSigFigとWikinvest、そして同社の共同創業者である。

 

同社の沿革

Laksは、2007 年に大学のクラスメートと起業。そこで経験した煩雑な人事労務の作業をきっかけに、中小企業向けに人事オンラインソフトを発案、エンジニアとともに同社を立ち上げた。

しかし、ツールの開発費が高く中小企業にとって手の届かない価格帯になってしまうことに頭を悩ませていた。そうした折に、シリコンバレーで、オバマケア作成にかかわっていた医者兼投資家と出会う。相談の末、健康保険を販売して保険会社から手数料を得て、中小企業には無料で提供するという現在のビジネスモデルを考案したのである。

 

Zenefitsの由来は、「禅(Zen)」と「福利厚生(Benefit)」の組み合わせ。

「複雑でわかりづらい制度や手続きを伴う年金・保険をより身近なものにしたい」という想いが込められている。

 

サービスの内容

提供サービスの概要

中小企業向けのSaaS型人事ソフトを提供している。そのソフトの追加サービスの一つとして、企業向けの健康保険を販売している。

 

サービスの特色

①福利厚生、採用、給料計算、休暇申請などの基本的な機能は無料である。

②一部の機能と外部サービス(保険販売の手数料はここに含まれる)が有料である。

 

他社類似InsurTech(インシュアテック)サービス

海外例:Justworks

労務系の管理ツールを提供している。
サービス内容は幅広く、従業員の勤怠、スケジュール、給与管理機能に加え、連邦税や州税の計算・支払いといったコンプライアンス管理機能が含まれている。
また、各種医療保険や健康増進が可能な福利厚生の管理にも対応している。

 

国内例:freee

会計を中心に人事労務や会社設立などのクラウドソフトウェアを提供している。

「人事労務freee」は給与計算から労務管理まで、誰でも手軽に利用できるサービスである。同サービスは10万を超える事業所で利用されている。