2018年6月18日、コミュニケーション領域でAI連携ソリューションを開発するモビルス株式会社(以下、モビルス)は、「LINE」のトーク上から保険の見積り・加入申し込み・支払い手続きまでを可能にするチャットボットを開発し、ペット保険シェアNo.1(※1)のアニコム損害保険株式会社(以下、アニコム損保)向けに初提供したことを発表した。
モビルスは、得意とするAIチャットボット技術をベースとして保険会社のIT活用を支援し、保険業界のInsurTech(インシュアテック)対応化を支えていく。
■保険業界で求められる技術革新、インシュアテック対応
日本の保険会社は、少子高齢化、人口減少、マイナス金利政策などにより、経営環境がますます厳しくなってきている。それにともない、ここ数年、海外企業の買収も含め、積極的なM&Aによる業界再編も進んできた。また、加入者をとりまく環境としても、家族・親族・友人といった人間関係やコミュニケーションのあり方が大きく変化してきている。
そのような背景から、これまで丁寧に人手をかけ、「義理・人情・プレゼント(GNP)」が大切とされてきた保険サービスにも、業務効率化・コスト削減が求められるようになってきている。
そこで注目されているのが、保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた「インシュアテック(InsurTech)」である。人工知能(AI)やIT、ビッグデータ解析など、高度なテクノロジーによって保険サービスを効率化し、さらに顧客体験を向上させることを目指す技術である。
インシュアテックの基本となる、AIチャットボットによる顧客対応の自動化
米国を代表するインシュアテック企業であるレモネード社(アメリカ・ニューヨーク、Lemonade, Inc.)は、AIによって煩雑な保険の加入・請求手続きを効率化することで毎月5ドルという低額からの保険契約を可能にしている。
レモネード社のサービスを支えるのは、顧客がオペレーターを介さず、簡単に保険加入や保険金の請求手続きができるAIチャットボットである。顧客対応の自動化によってコスト削減をはかり、結果として、顧客体験の向上と保険料の低減を両立するしくみである。
インシュアテック対応では、テクノロジー活用に積極的な海外の保険会社が先行している。そんな中、アニコム損保は、2017年5月にLINEを通じた保険金請求サービスを業界で先駆けて提供するなど、日本におけるインシュアテック対応のリーディングカンパニーのひとつである。
今後、保険サービスのIT化の進展によって業界のボーダーレス化が加速し、グローバル競争が激しくなっていく様相である。その上で、国内外の先進的な保険会社が取り組むAIチャットボットは、保険業界の業務効率化および顧客サービスの向上に欠かせないインシュアテックの基本要素として、世界的に導入が進んでいく見込みだ。
■チャットボットなら、煩雑な申込みを楽しい顧客体験にできる
手書きの申込用紙はもちろん、WEBフォームの申込みでも、保険の加入手続きは煩雑でわかりづらく、時間がかかってしまう。顧客にとって手間であるだけでなく、せっかくの申込みを途中で離脱させる原因のひとつになっている。
アニコム損保のチャットボットでは、対話形式のナビゲートによって顧客の負担を大幅に解消し、従来の手続きと比べ、操作時間を80%程度(※2) 削減することに成功している。
チャットボットのシナリオは、顧客が直感的にわかりやすく、さらに手続き自体を楽しめるようによく工夫されている。
※1:株式会社富士経済発行「2018年ペット関連市場マーケティング総覧」調査より
※2:アニコム損保調べ。