保険業界において、これまでもOCR技術を用いて、紙面情報をデジタル化する取り組みが行われてきた。
近年、AIの導入による画像認識力の向上に伴い、更に高速かつ精度高く紙面情報をデジタル化することができるようになってきた。
主に保険業界を対象として、紙面のデジタル化技術を提供するInsurTech(インシュアテック)企業であるCaptricityを紹介する。
Captricityならではの、読み取りにかかるコストを抑えながら、個人情報を保護するための仕組みも紹介する。
企業基本情報
企業名:Captricity
中心拠点:アメリカ
設立年:2011年
代表者名:Kuang Chen(Founder, CEO)
資金調達総額:$51,900,000(2017年10月現在)
主な資金調達元:White Mountains Insurance Group / Atlas Venture / Social Capital
カテゴリ:Insurance Data(保険データ)
企業ホームページURL:http://captricity.com/
沿革
創業者の経歴
Kuang Chen(Founder, CEO)はコンピュータサイエンスの専門家である。Teranode Coporation、Google、NextDropでの勤務を経て、同社を創業し現職に至る。
同社の沿革
創業のきっかけはKuangが2009年に国連開発計画(UNDP)へ参加したことだった。
彼は同プログラムに参加している研究者が電子カルテを用いているのを見て、ウガンダでの経験を思い出した。
「ウガンダの村には電子カルテなどなかった。もし導入できていれば、彼らは仕事をより早くすることができて、より多くの命を救うことができたのに。」
この時の想いが、彼をデータ分析ツールの会社である同社の創業へ導いた。
2015年にはさらに優秀な人材を雇用して、技術チームを強化した。加わった新たな人材にはAngshuman “Angshu” Guha(Google、Microsftでの経験を持つAI研究者)、Linda Kim(SaaS、政府機関での経験を持つセキュリテ専門家)などが含まれる。
今後、最新のAIと新たなディープラーニング活用の試みに挑戦していく。
サービスの内容
提供サービスの概要
Captricityは機械学習の技術を活用し、速く低コストに紙面情報をデータ化するサービスを提供している。
サービスの特色
①カメラやスマートフォン、スキャナーなどで画像化した紙面情報をデジタルデータ化できる。
②デジタルデータ化された情報は適切なフォーマット(例:スプレッドシート)に整理され、ERPや経営データ分析ツールに連携できる。
③AI→人の目→AIというトリプルチェックをするため、精度は99.9%と非常に高い。
④Mechanical Turkなどのサイトで募った労働力に確認させる。
⑤データは人の目でのチェックの際Shreddrという保護技術で、各特定箇所に分けられて分担されるため、プライバシーが守られる。
⑥一度に5万枚まで変換できる。
サービスの質の高さが評価され、HumanaやAXAといった保険会社やFDAといった政府機関が同サービスを導入している。
他社類似InsurTech(インシュアテック)サービス
Apixio
膨大な医療文書のデータ蓄積、デジタルデータ化、傾向分析までを一貫して行うプラットフォームを提供している。
神経言語プログラミングと機械学習を使ったデータ分析ソリューションによって、公的医療保険で必要なリスク調整と病状コードの報告をサポートしている。
年間12億枚に及ぶ膨大なカルテの80%が利用されていないという状況を改善するために同社は立ち上げられた。
Oration
従業員の処方箋管理のためのソフトウエアを提供している。
過去の処方記録を収集し、そのデータに基づいてより安価な処方箋を提案する。そうすることで、雇用主と従業員は医療用医薬品の費用を抑えることができる。