米国版国民皆保険となりうるか?【Oscar Health】

保険加入と同時にサービスの一環で保障対象となる事象を予防することで、保険金の請求件数を抑える。そしてリスクを抑えることで低額な保険料を実現し、さらに契約者を増やす。このようなビジネスモデルは今後さらに拡大していくことだろう。

企業基本情報

企業名:Oscar Health

中心拠点:アメリカ

設立年:2013年

代表者名:Mario Schlosser / Kevin Nazemi / Joshua Kushner(Founder, Co-Founder)

資金調達総額:$727,500,000(2017年10月現在)

主な資金調達元:Fidelity Investments / CapitalG / Founders Fund / Formation 8 / Thrive Capital

カテゴリ:Health Insurance(医療保険)

企業ホームページURL:http://hioscar.com/

 

沿革

共同創業者の経歴

Mario Schlosser(Founder, CEO)はコンサルタント業界出身のアントレプレナーである。McKinsey & Companyで約3年働いたのち、Bridgewater Associates、Vostu、MIT Media Labでキャリアを経て、Sofin Corporationと同社の代表となっている。

Kevin Nazemi(Co-Founder)はMicrosoft出身のシリアルアントレプレナーである。Microsoftでの5年のキャリアを経てDone、同社、Renewを創業する。現在は、Renewの代表とExpaにてAdvisorを兼任している。

Joshua Kushner(Co-Founder)はアメリカのアントレプレナーである。ブラジルのSNSであるVotsu、VCのThrive Capital、そして同社の創業者である。現在はVostuのChief Strategic Officer、Thrive Capitalのマネージングパートナー、不動産投資会社Kushnerのプリンシパルとして、またObserver Media Groupの理事会に参画している。

 

同社の沿革

同社の急成長は、アメリカ国民の従来の医療保険に対する不満の表れと言える。国民皆保険が存在しないアメリカでは医療保険は重大な問題となっている。2012年時点で加入できない人が4800万人に及び、個人破産の6割が医療費が原因であると言われるほどだ。加えて、従来の医療保険の複雑なプランや繁雑な手続きにより、国民から敬遠されていた。同社はそんな医療保険を変革した。
タイミングが非常に良かったことも同社の成功には欠かせない。2010年にオバマケアが成立し、2014年から特定の条件下で個人医療保険のための補助金が支払われることとなった。そのため、今まで医療保険に加入していなかった層を一気に取込むことができたのである。
NY州から始まり 、NJ州、CA州、TX州と徐々に市場を開拓し、2016年時点で契約者数は145,000人と急成長を遂げている。
今後、同社は毎年3~4州ずつ拡大し続け、5年以内に契約者100万人を達成する予定だ。

 

サービスの内容

提供サービスの概要

スマホで完結する契約後まで一貫した医療保険サービスを提供している。契約者の健康維持に積極的に関与することで、全体の医療費(と医療保険料)を下げることを目指している。

 

サービスの特色

①同社の医療保険契約者は、医師との24時間電話診察、往診、ジェネリック医薬品の処方、一般的なワクチンや検査がすべて無料で受けられる。

②契約者はフィットネスモニター(Misfit Flash)を無償配布され、フィットネス状況に応じて報奨金を受け取ることができる(最大$20/月)。

③医療保険に申し込むための全ての手続きはスマホで完結し、過去の往診履歴や処方歴も一括で管理することができる。

④症状を入力すると近隣の専門医が紹介される機能がある。

 

他社類似InsurTech(インシュアテック)サービス

海外例:Health Joy

同社はAIを活用して遠隔医療サービスを提供している。

中心として扱うのは、感染症や軽度のインフルエンザなど緊急な診療を要さない症状だ。
最適な病院・医師・処方箋・診療費を提案し、それぞれの患者に最適化された医療の提供を目指している。

 

国内例:第一生命

同社は2017年3月、健康支援のためのアプリ「健康第一」の提供を開始した。

コンテンツ内容は以下のとおりである。

・日々の健康サポート

・健康状態の改善アドバイス

・生活習慣や加齢状況による自分の顔の年齢別シミュレーション

・歩数計測で目標を達成するとクーポンがもらえるキャンペーン

同アプリは計20社以上の企業とのパートナリングによってサービス開発を行った。