ソフトバンクグループがInsurTechを手中に収める?

ソフトバンクグループ関連でInsurTech領域への巨額の出資が行われている。

近ごろ、著しい成長を遂げる海外のInsurTech企業2社が資金調達を実施した。米国のLemonade(注1)とドイツのwefox Group(注2)である。Lemonadeは3億ドルのシリーズDラウンドの調達(注3)で、リード投資家はソフトバンクグループだ。wefoxは1.25億ドルのシリーズBラウンドでの調達(注4)で、リード投資家はMubadala Venturesだ。Mubadala Venturesはソフトバンクビジョンファンド(以下、SVF)のLP投資家である。両社ともに調達した資金を事業の国際展開のために用いると発表しており、特にLemonadeはヨーロッパ市場への進出を検討しているとのことで、米国からEUのマーケットに手を伸ばそうとしているところである。Lemonadeのヨーロッパ進出が決定した場合には、wefoxグループのONEの競合になることが考えられる。

 

さらに、2017年以降はSVFによるInsurTech企業への出資が目立った。平安保険の「Good Doctor」(注5)を提供するPing An Good Doctor社へ出資を行った。2018年には、インドで保険商品の比較サイトを運営するPolicybazaar社、中国でオンライン保険を販売するZhong An社(IPO済)、中国で医療プラットフォームを提供するPing An HealthKonnect社に出資を行っている。

ソフトバンクグループ関連のファンドが出資しているInsurTech企業はいずれもAIないしはプラットフォーマーとしてのサービスを提供している。InsurTech領域では今後、医療や自動車などの関連産業とのエコシステム構築や、AIによる従来のプロセスの簡略化が顕著になると考えられる。今後もSVFによるInsurTech領域への出資が拡大するのか関心が高まる。

 

注1:https://insurtechjapan.com/trend/201710/lemonade
注2: https://insurtechjapan.com/trend/201907/wefox_20190711
注3:https://forbesjapan.com/articles/detail/26646
注4:https://techcrunch.com/2019/03/05/wefox-group-the-berlin-based-insurance-tech-startup-raises-125m-series-b-led-by-mubadala/
注5:遠隔診断が行える中国の平安保険のサービス