インシュアテックスタートアップを事業支援。【Sollers Consulting】紹介インタビュー


Sollers Consulting (以下、ソラーズ)は、約20年間にわたり金融・保険業界のデジタリゼーションとビジネス変革を支援してきました。ヨーロッパでの継続的な拡大を経て、2018年には新たな挑戦を求め日本に支店を開設。 保険会社のサポートだけではなく、自ら積極的なデジタルプレーヤーとして業界に革新をもたらすため、さらなるビジネス展開を目指しています。

代表取締役/マネージング・パートナー ミハウ・トロヒムチュク

2019年6月に開催されたDIA Amsterdamのイベントでは、ソラーズのオリジナル商品であるオムニチャネル保険プラットフォーム「RIFE」のピッチを行いました。

ソラーズはドイツとポーランドにてインシュアテックスタートアップの事業支援を行いながら、企業とスタートアップ企業双方のエコシステム構築の促進に取り組んでいます。
この度、Sollers Consultingの共同創設者兼代表取締役のミハウ・トロヒムチュク氏にインタビューを行いました。

 

Q1: ソラーズの事業サービス内容や商品について教えて下さい。

まず、ソラーズとインシュアテックとの関連性についてご説明したいと思います。 私達はインシュアテックスタートアップ企業の事業発展を支援するMIT-EF(マサチューセッツ工科大学エンタープライズフォーラム)ポーランド支部の公式パートナーです。 私達はスタートアップ企業のメンターとしてビジネスモデルのコンサルティングや、彼らの技術が必要な企業との関係構築を支援しています。 ドイツでは、ここ数年で急成長を遂げているELEMENT社やFRI:DAY社を技術面でサポートしています。

ソラーズの主な事業は、ビジネスアドバイザリー及びシステム導入を融合したサービスの提供で、金融・保険業界のビジネス変革の実現に貢献することです。 これまで70を超える金融機関の企業様を対象にデジタル分野の強化のため新テクノロジーの適切な選定と導入、それに伴う変化への適応といった各フェーズにおいて 支援を行ってきました。

 ガイドワイア、オラクル、AWS、マイクロソフトなど、15を超えるテクノロジープロバイダーと協力し、お客様に最適なシステムをご提案します。また、保険業界のニーズに合わせて設計されたオムニチャネル・デジタルプラットフォームの「RIFE」を御社のオリジナル商品として提供しています。

東京、ケルン、ワルシャワそしてコペンハーゲンを拠点とし、600名を超えるビジネス及びITスペシャリストが日々、ドイツ、イギリス、ポーランド、スカンジナビア諸国を始め世界各地で保険業界の企業様のデジタリゼーションに向け尽力しています。

 

Q2: 他社との差別化において、どういった強みがありますか?

当社の強みはビジネスとテクノロジー、それぞれの専門分野を組み合わせたサービスを提供できることです。 システムインテグレーター、またビジネスコンサルティングの一方に偏ることなく様々な側面からお客様のデジタルリーダーへの過程をサポートします。 

デジタリゼーションはシステムの入れ替えや目前の問題解決だけを指すのではありません。それには、社会の目まぐるしい変化に柔軟に対応できるための 企業の組織文化の変革、そしてそのような変化に対応しうるテクノロジーの実装が含まれます。 そして大規模なプロジェクトの達成には、成功への道筋を示す強力なパートナーが必要です。 この意味で当社は、業界や革新的なテクノロジーに関する深い知識、アジャイル導入の豊富な実績、そしてシステム導入とビジネスコンサルティングの確かな技術・ノウハウにより、プロジェクト目標達成まで全面的に支援します。

当社ではIT部門だけでなく、全部門にアジャイル手法を採用しています。それぞれのチームがアジャイルの主なメリットである透明性、柔軟性を保ちながら明確なタスクの優先順位付けを行い、日々の業務にあたっています。アジャイル導入を推進する私達のプロジェクトでは、プロジェクト初期からIT部門とビジネス部門の双方から全ての利害関係者を巻き込みます。これにより、各フェーズにおける優先順位付けの迅速な意思決定が可能になります。また、私達はチーム内のフラットな関係の中で、お客様と一体となり協働しながら、私達のノウハウと技術を共有することに重点をおいています。こうしてプロジェクト終了後のお客様の自立的なシステム運用と、持続的な成功を支援します。よくお客様からはお客様側のチームとソラーズのチームが言葉通り一丸となり、お客様のビジョンを実現するべく切磋琢磨する姿勢に驚かれつつ、高い評価をいただいています。これはSollersを他のマーケットプレーヤーと区別する重要な要素だと思います。

もう一点の強みは、当社が非常にグローバルな組織だということです。日本からブラジルに至るまで世界各国でお客様と協力させて頂いているため、私たちは現地の国の文化的背景や特異性に細心の注意を払っています。 現在当社では14の異なる国の出身者が働いており、多様で刺激的な職場環境を作り出しているほか、当社がグローバルに事業を行う上でその国についての貴重な洞察を与えてくれています。


Q3: ヨーロッパのインシュアテック事情について教えて下さい。

ヨーロッパのインシュアテックへの投資は、ここ数年で着実に増加しています。ヨーロッパでの投資の伸びは、ドイツ、イギリス、フランスを中心にしたインシュアテックハブ拠点によって牽引されています。 2018年のインシュアテック投資トップ10の取引の半分は、ベルリンに拠点を置く企業が占めました。

インシュアテックは、顧客サービス、商品、保険引受、価格設定、マーケティング、流通に至るまで保険業務のほぼ全ての領域に浸透しています。 特にインシュアテック企業ならではの強みや独自ノウハウを活かせる保険業界のバリューチェーンの部分に事業ターゲットを定める傾向が見られます。

しかし実際には、インシュアテック投資が増加している一方で、本当に利益を得ているのはまだほんの一部のスタートアップ企業に限られています。膨大な資金を集めて成功する企業もあれば、市場から姿を消すものもあります。多くのインシュアテックは、資金不足を補うため、既存の業界企業とのパートナーシップに奔走しています。 例えば、ドイツではAllianz、AXA、Munich Reなどの業界大手が積極的に革新技術への投資先を探しており、有望なインシュアテック企業の多くはこうした大企業に買収されるか、独占的パートナーシップを結ぶ傾向にあります。 こうした関係は、インシュアテック企業の自立の機会を阻んでいるとも言えるでしょう。資金不足の他にも、低い認知度、規制やビジネスプロセスの専門知識不足が克服すべき課題の1つです。

また、近年は多くの保険会社が独自のインシュアテック企業を設立しています。形態は独立した保険会社、またはその企業のデジタル部門として、あるいはブローカーなど様々ですが共通して言えるのはこうしたインシュアテック企業の既存の保険会社向けソリューションは、古いバックエンドシステムにより上手く機能していないことが多いという現状です。

今後も保険会社とインシュアテック企業は、双方にとりWin-Winの関係を形成するため協業の道を模索し続けるでしょう。

私は、MIT-EFのパートナーとして、CEE(中東欧)地域に大きな潜在性を感じています。 MIT-EFポーランドの資料によるとこの地域はヨーロッパの中でも豊富なR&D人材を有し、ヨーロッパ最大の研究開発エコシステムの1つとして注目を浴びています。 また、域内のICT企業はこの数年で平均前年比18%増のペースでベンチャーキャピタル向け資金調達に成功しています。 今後のますますインシュアテックビジネスの成長が期待できるでしょう。

 

Q4: 前の質問に関連して、ヨーロッパの保険会社はどのようにエコシステム構築を試みていますか? 

エコシステムの構築は保険業界の大きな課題の1つです。 その重要性は広く認識されており、独自でエコシステムの構築や将来性のあるエコシステムプレーヤーとの協業を試みています。しかし、まだその規模は大きいとは言えず、デジタルの視点では未熟とも言えます。その足枷となっているのは、多くの業界企業において非常に複雑なIT構造と時代遅れのコアシステムから抜け出せていないという現実です。デジタル化を念頭においたエコシステムの形成は主にデータ主導ですが、そのデータを扱うシステムが追いつかず、既存データの活用と有効なデータの創出の可能性を阻んでいます。

それに関連して、APIの開発もまだ十分とは言えません。既存のエコシステムへの接続やエコシステムの形成の際に、オープンAPIは不可欠です。ヨーロッパ各国においてもオープンAPIは業界の重要トップ項目です。

 

Q5: 最大のInsurtechイベント「DIA Amsterdam」で発表される予定の「RIFE」について教えてください。

金融・保険業界のデジタル変革に20年近く携わった経験を基に、保険会社様の多様なニーズに対応可能な次世代オムニチャネル保険向けプラットフォーム「RIFE」を開発しました。 RIFEにより、縦割りのサイロアプローチを「破壊し」、ビジネスプロセスをシームレスかつ魅力的でパーソナライズされた顧客体験に統合することが可能となります。

RIFEは特に次の点において、保険会社様の販売強化をサポートします。
– 顧客の嗜好ごとの多様なセールス及びサービスの顧客接点を通じたシームレスな顧客体験
– 顧客体験をベースに個々の顧客ごとにカスタマイズされた提案
 – 新製品導入や新しい販売チャネルの立ち上げを迅速に行い、市場投入までの時間を最小限に短縮
 – 顧客の消費行動や嗜好ごとに最適なユーザーインターフェースを差別化し、顧客満足度と顧客エンゲージメントの最大化

RIFEプラットフォームは複雑な設定なしに使える標準的なソリューションで、保険基幹業務システムを含む様々なソースシステムとの迅速な統合が可能です。 商品中心型の保険販売から顧客中心型のオムニチャネルアプローチへの移行を実現できます。


Q6: ソラーズの将来のビジョンについて教えて下さい。

より多くの保険会社様がデジタル技術の活用によりビジネス変革を遂げ、時代の要請に対応しながら成長し続けられるよう今後もグローバルに活動を広げていくことを目指します。今後はさらに自社製品の開発にも注力し、お客様のニーズに幅広く応えられるようにします。

日本では多くの保険会社様が業務効率化と顧客行動やニーズの変化に迅速に対応するため、デジタル化の取り組みを強化していることがうかがえます。 この点で、私達が日本でお手伝いさせていただけることがたくさんあると感じています。これまで様々な国で、クライアント企業様からサービスの質の高さを認められてきました。アジリティとグローバルなプロジェクト経験をもってお客様と協業しながら、日本の保険業界のデジタリゼーションにも貢献できることを願っております。

イノベーションはゴールではなく、常に最善のビジネスのやり方を追求し続ける旅路なのです。 それは地平線のようなもので実際にそこに辿り着くことは不可能ですが、私達に方向性を示してくれます。私達の使命は業界の企業様に潜在している成長の可能性を解き放ち、次に進むべき方向を提案しながらその旅路を歩むお手伝いをすることです。

 

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「RIFE」製品HP