なぜ保険会社はサステナビリティと向き合うべきなのか

最近、気候変動に関する話題が増えています。気候変動に関するニュースや最近の研究データから、私たちが置かれている状況は明確になってきていると思われます。心配なのは、気候変動そのものが真実であるのか、もし、真実であるとしてもその重要性を否定する議員がいることです。この件は、また別の機会にお話しするとして、今、はっきりしているのは、保険業界はすでに異常気象の影響を受けているということです。2005年以前は保険金支払額が500億ドルを超えたことはありませんでしたが、自然災害の結果として近年は年間1000億ドル以上の損失を定期的に出しており、これは業界全体にとって大きな脅威となっています。保険会社は今すぐ、そして迅速に行動を起こす必要があると言えるでしょう。

一方で気候変動を楽観視できる背景もあります。テクノロジー・プロバイダーは近年、定期的に登場し続けており、新しいパートナーシップの機会や、保険と社会全体の大きな課題に対する解決策を提供してくれます。従来の保険会社が、新しいテクノロジーやパートナーを効果的に活用し、他の分野に戦略的に資本を配分することができれば、非常に大きなメリットがあります。

保険会社が持続可能な社会の実現に向けた取り組みを開始する際には、柔軟性が鍵となるでしょう。気候リスクは常に変化しているため、固定された商品を作ることはもはや目的にそぐわず、業界全体が協力して成功する必要があります。新たな気候リスクが出現した際には、アジャイルなビジネスモデルと柔軟な保険商品の組み合わせが重要になるでしょう。持続可能性を高めようという意欲があっても、保険会社だけでは世界の気候問題を解決することはできず、保険会社が果たすべき役割も単独では成し遂げられません。この戦争では、間違いなくパートナーシップが第一の戦術となるはずです。例えば、近年流行しているパラメトリック・ソリューションを試すのに機構問題は最適です。技術の使い方に長けている企業は、世界をより環境に優しく、より安全な場所にするというビジョンを持って創設されていることが多いのです。それらを利用しないのはもったいないことです。

ご存知のように、現代の保険は、単に支払いを約束するものではありません。多くの場合、保険会社は単に保険金を支払うだけでなく、予防することに目を向け始めていますし、サステナビリティに向き合う以上、避けられない課題です。もちろん、YulifeやVitalityのように、人々がより健康的な生活を送ることを支援する方がより明確な課題ですが、保険会社は顧客のサステナビリティを高めることに注力する必要があります。さらに、保護格差の解消も必要です。英国では昨夏の熱波で森林火災が発生し、ヨーロッパの一部を襲った洪水では、被災者の約30%が無保険でした。保険をかけるべき資産がなければ、保険業界は存在しないのです。私たちはこのことに留意し、できることは自分でコントロールする必要があります。

柔軟性は重要ですが、保険会社は資本と時間を事業全体のどこに配分するかについても考える必要があります。一部の保険会社は、化石燃料を利用したプロジェクトを続けていますが、これは社会にとって必要なことであるため、一夜にして化石燃料に関連する事業から撤退したら、世界中の社会機能が麻痺してしまいます。このような取り組みを行っている保険会社はたくさんありますが、今さら止めるわけにはいきません。準備金の配分の必要性も忘れてはなりません。保険会社は、持続可能な投資先について考え、世界的な持続可能性を促進する資産ポートフォリオを増やし、損害準備金の長期的な収益を確保する必要があるでしょう。

パズルの最後のピースは、社会的な要素です。あらゆる年代、あらゆる地域の消費者が気候変動に対する認識と関心を着実に高めており、すべての企業がサステナビリティと向き合うことを期待するようになっています。加えて、一般消費者が「良い人アピール」に見えるような企業の目標を見抜くことができるようになっています。このことは、保険会社にとって2つの重要な分野で影響を与える可能性があります。

まず、保険会社が二酸化炭素排出量の削減や持続可能なパートナーとの協働に積極的な役割を果たしていることが顧客に伝わらなければ、その保険会社が顧客から選ばれる可能性は低くなる一方でしょう。もうひとつは、保険業界が求める優秀な人材が、二酸化炭素排出量の削減・軽減に取り組んでいない企業を敬遠するようになることです。したがって、保険会社が迅速に行動を起こせば、顧客獲得、維持、満足度の向上という連鎖反応が得られると同時に、人材獲得にも同様の効果が期待できるのです。

持続可能性を単なる課題として捉えるのは短絡的です。保険業界の場合、正しいことをするだけでなく、新たな収益源を作り出し、現在は比較的発展途上である顧客基盤を構築する機会でもあるのです。さらに、大企業が自分たちの要望を聞き入れてくれるとは思っていない多くの消費者に対して、顧客サービスを向上させる方法でもあるのです。これはもう仮定の話ではありません。これはもう保険業界が現実に直面しており、必ず対処すべきことなのです。

本記事は、https://www.digitalinsuranceagenda.com/thought-leadership/why-insurers-need-to-act-on-sustainability/ を翻訳したものです。