インシュアテックの変化はAI技術が鍵を握る

新年度になってから2カ月が経過した。新年度あたり、インシュアテックに関するニュースが多かったが、少々、落ち着いてきているように感じている。それは、インシュアテックを事業とする企業が研究を行い、商品化する準備をしているところだろう。

 

そのような中、インシュアテックスタートアップ会社が、資金調達を行い、事業を拡大させようとしている動きが見られる。

 

人工知能テクノロジー・スタートアップ会社である株式会社シナモン(以下、シナモン)は201861日に総額約9億円の資金調達を実施している。

 

株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行からの銀行融資だけでなく、SBIインベストメント株式会社の運用するファンド、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズの運用するファンド、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、ソニー株式会社のコーポレートベンチャーキャピタルであるSony Innovation FundTIS株式会社を引受先とする第三者割当増資も得ている。多くの企業から資金調達しているところを見ると、シナモンに期待している企業は多いのではないだろうか。

 

シナモンは、人間のように文書を読み取るAI OCR※1)である「Flax Scanner(フラックス・スキャナー)」という独自開発の人工知能のエンジン提供を行っている。

 

通常、人工知能(以下、AI)と聞くと、例えば、接客応対をオペレーターの代わりにAIが行うものをイメージするだろう。単に『考えてアウトプット』することがAIのミッションではなく、人間のように学習する能力(ディープ・ラーニング)を持つAIが存在する。インプットするものが増えれば、AIの世界は広がる。さらに、ビッグデータをつなげれば、無限大だろう。

 

現在、インシュアテック分野において、「新規契約や保険金支払時のチェック」・「保険商品の比較」などでAI技術が利用されることが多い。そのため、一定のルールにのっとり、営業職員の作業をAIが代行できるようになった。

AI技術を成長させるには、より多くの情報をAIにインプットする技術、つまりAI技術につなげることができるAPI※2)が今後増えていくように思える。

 

AI・ビッグデータといった分析に関する技術は、研究が始まったばかりである。インシュアテック分野を大きく飛躍するされるキーポイントになることは間違いないだろう。

AIが人間のように対話してくる時代が近いのかもしれない。

 

※1 Optical Character Recognition/Reader:手書きなどをスキャナ・デジタルカメラなどで読み取り、コンピュータで利用できるようデジタルの文字コードに変換する技術。

 

※2 Application Programming Interfaceの略。コンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部プログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めたもの。